今日日の工業製品は、実際に生産が始まるまでにたくさんの試作が行われ、性能や使い勝手が徹底的にテストされますが、こうした試作が流出して新製品の情報がバレバレになるリスクもあります。このため初代iPodのプロトタイプの中には、実際の製品をまったく想像できないような形で作られたものがあるそうです。
これはMacOSやiOSのソフトウェアを開発する企業、PanicがiPod生誕20周年を記念して公開しているもの。一緒に写っている初代iPodと比べると全く似つかない形をしています。
当時、Apple社は本体と周辺機器をトータルで提供し、より大きな経済圏を作ることを試みていました。しかしデジタルカメラ「QuickTake」や情報端末「Newton」など印象的なものはいくつかあるものの、攻めあぐねていたという印象があります。
iPodは音楽ダウンロードサービスのiTunes Music Storeとの組み合わせで文字通りのスマッシュヒットとなりました。それをどこまで予測していたかは分かりませんが、こうして何を作っているのか隠す意味は十二分にあったのではないかと思います。
なお中身はこのとおりスカスカ。
当時の開発者、トニー・ファデルさん曰く「これは実際の製品のデザインが出来上がる前に大急ぎで作られたプロトタイプで、機密保持のために大きさやボタンの位置を変えてまったく違う見た目にしたし中身はスカスカ。ホイールは動くけど使いにくいものだった」とのこと。
This is a P68/Dulcimer iPod prototype we (very quickly) made before the true form factor design was ready. Didn’t want it look like an iPod for confidentiality – the buttons placement, the size – it was mostly air inside – and the wheel worked (poorly) https://t.co/qeNMHMmVsc
— Tony Fadell (@tfadell) October 23, 2021
試作品には、作った人のやろうとしたことが最も色濃く現れます。市場ウケや大量生産時の効率などを考えるまえのプロトタイプは、どんな製品でもとてもユニークです。
SFっぽい短機関銃「KRISS Vector」のプロトタイプはさらにSFっぽい見た目だった – DNA