音楽性としてではなく、純粋に音を出す器具としての性能を突き詰めてみるという実験は、あらゆる楽器で行われており、進化が続いています。こちらはとにかくハリのある低音を目指して作られたピアノ。そのサイズは圧巻の一言です。
長いピアノを作る最大のメリットは低音の響きをごくシャープにできること。短いピアノで低音を出そうとすると太く重たい弦をゆるく張らなければならず、モゴモゴとこもった感じになってしまいます。
The Alexanderを作ったニュージーランドの調律師・ピアノビルダーであるエイドリアン・マン氏の興味もそこで「とにかく長い弦を張ったらどんな音がするのだろう?」というのが、制作のきっかけとなりました。
The Alexanderは18フィート9インチと、通常のコンサート用グランドピアノの倍以上の長さがあります。これなら低音でもテンションをかけて弦を張れるので、響きの質がすべての音域でシャープ。
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最初の1音で低音と高音が一緒に鳴りますが、響きの質が近しくなっています。
Alexander piano recording – YouTube
音域の広いラグタイムのような楽曲ではその特徴が顕著に現れています。
Hyperion Knight plays the Maple Leaf Rag on the Alexander Piano – YouTube
ピアノに限らず楽器はまだまだ進化中。こちらは性能を追求すべく従来の「ピアノ」っぽさを離れたKlavins社のピアノ。最大のものは高さ15フィートと巨大で、壮絶な鳴り方をすることで有名。Native Insturuments社から「The Giant」として音源化されていて、誰もが楽曲に挿入することができます。
動画の冒頭では同社のラインアップの聴き比べができ、響板の大きさ、弦の長さが音色にどのような影響を与えるかがわかります。
What a 15-Foot-Tall Piano Sounds Like – YouTube
もちろん「どの音もギラギラと鳴り響くのがいい」というわけではなく、楽曲の雰囲気や演奏される場所によって最適なピアノの形式やその音色は違うものですし、こちらのように作曲家が意図した響きを再現するために、あえて当時の古楽器を使うこともあります。しかしこういうピアノが演奏家に選択肢を与え、表現の幅を広げてくれるということは間違いありません。
天才・モーツァルトが10歳で作曲した未発表ピアノ曲の初演動画 – DNA
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